梅雨時に体調を崩すのは大人だけではありません。
「頭が痛い、体がだるい」と、毎年一時期体調を崩す子供たちもいます。
お母さんたちは「どうも梅雨が関連しているような気が・・・。」
ここでは梅雨時に体調を崩す原因は何か、あるいは何かの病気なのかを探っていきましょう。
また、子供の頭痛に市販薬を飲ませても大丈夫なのか、病院へ行くべきか迷いますね。
お医者様の見解をご紹介しましょう。
そして元気に過ごせるような体作りの食事にも気を配り、体調管理に良い食材とレシピをご紹介します。
【もくじ】
梅雨に子供が体調を崩す原因は?
梅雨時の子供たちの体調不良の原因と対策について見ていきましょう。
一般的には気圧の変化が体調にも影響すると言われていますが、どうやら子供でも同じ事が起きているようです。
小児病院関係者も「梅雨時は痙攣(ケイレン)や頭痛が増加する嫌な時期です」と言っています。
梅雨の時期は雨の日と晴れの日が数日の間に交代・変化しますね。
このため気圧の変化が大きく、太陽が顔を見せない日も多いことから自律神経が乱れやすくなるのです。
自律神経の乱れが体調不良を引き起こす原因となっているようです。
◆「自律神経」とは?メカニズムは?
「自律神経」は脈拍や血圧、発汗、消化運動などの調節をしている神経です。
私たちの体で興奮や緊張している状態では「交感神経」が優位に、抑制やリラックスしている状態では「副交感神経」が優位になります。
通常はその二つの神経が状況に応じて血圧や脈拍、発汗、消化運動などを調節しています。
例えば暑いときに汗を出したり、運動をしたときに血圧や脈拍を増やすなどの対応をしています。
けれど内分泌疾患やストレスからその調節がうまくいかなくなることがあります。
するとリラックスするはずの状況なのに動悸がしたり、いやな汗がでたり、めまいがするといった症状が出ます。
これは「自律神経失調」という状態です。
◆自律神経失調症とは?
それ自体は病名ではなく色々な原因で起こる症状につけられた名です。
例えば更年期障害では性ホルモンのバランスが崩れ同じような症状が起きます。
また甲状腺機能亢進症や褐色細胞腫などの身体の病気でも同様の症状が起きるそうです。
原因の中で一番多いのはストレスや不眠。
不安や緊張している状態の交感神経が優位な時間が一日の中で長時間続くと調節障害が起こるそうです。
夜眠れない場合は、本来リラックスしている時間の副交感神経が優位になる時間が少なくなるということになります。
さらに自律神経の調節障害が起こるとますます不眠と悪循環に陥ります。
◆自律神経失調症の症状は?
はっきりとした異常が認められないのに関わらず、様々な症状が表れます。
【よく起こる症状】
慢性的な疲労やだるさ・めまい・耳鳴り・頭痛・不眠・便秘・下痢お腹のはり
微熱・手足のしびれや冷え・立ちくらみ・口やのどの不快感・その他
梅雨時の子供たちの体調不良の原因と対策について見ていきましょう。
一般的には気圧の変化が体調にも影響すると言われていますが、どうやら子供でも同じ事が起きているようです。
小児病院関係者も「梅雨時は痙攣(ケイレン)や頭痛が増加する嫌な時期です」と言っています。
また、気圧変化による不調の研究として、名古屋大学の佐藤純教授の動物を使っての研究をご紹介します。
【概要】
・以前の一般的な説では例として偏頭痛は低気圧になると血管に対する外部からの圧力が減少し、その結果血管が拡張し過剰に血流が増加して頭痛症状が起きると言われていました。
・佐藤教授の研究ではマウスの内耳に在る気圧の変化をキャッチするセンサーが気圧低下をキャッチし、バランスが乱れ、体調を変化させるということを実験により明らかにしています。
・気圧が低下すると内耳に存在するセンサーがそれをキャッチし交感神経の興奮が高まり、血流や痛みの感受性を変化させ痛みなどの諸症状を誘発するというものです。
◇人間では?
2015年1月21日放送の「ためしてガッテン」で興味深い実験がされています。
【概要】
気圧変化により人間の内耳にある気圧センサーがそれを感知するとリンパ液に流れが生じてしまいます。
通常、内耳は体のバランスをとる働きをしていて、内耳のリンパ液は「体が傾いたときなど」に流れが生じ、「脳がそれを感知し」て「バランス」をとっています。
ところが気圧変化ですから、目からの脳へ送られる情報では「体に傾きは無し」。
でもリンパ液は「気圧変化で流れが生まれている」ため、脳は混乱してしまいます。
この情報の食い違いがストレスとなり、持病や古傷がある場所の痛み神経につながっている交感神経を興奮させ、痛みを誘発してしまうというのです。
梅雨の頭痛に薬は飲んでも大丈夫?
お子さんが頭痛をうったえる時に手元にある薬をすぐに与える前に、もう少し頭痛に関しての知識を深めましょう。
◆お子さんの頭痛のタイプは?
子供は風邪などの原因となる疾患がなくても頭が痛くなることはあります。
その代表的な頭痛は「片頭痛」と「緊張型頭痛」で、この原因となる疾患のない頭痛を「一次性頭痛」と呼びます。
【片頭痛】
大人の片頭痛と同様、ズキンズキンと脈打つような痛みで、発作的に始まります。
発作のときは寝込むほど痛みが強く吐き気があったり、光や音、匂いに過敏になったりする場合があります。
頭痛の前に生あくびや肩こりなどの予兆、見ようとするところが暗くぼけ、その周りが光って見える「閃輝暗点(せんきあんてん)」といった前兆が現れることもあります。
親も頭痛持ちというように遺伝的傾向が見られます。
【緊張型頭痛】
頭が締め付けられるように痛むのが特徴でメカニズムははっきりとわかっていません。
頭や肩、首の筋肉の緊張やストレスが主要な原因となります。
痛みは片頭痛ほど強くありませんが、家庭や学校での悩み、いじめなど心理的なことで慢性化する場合には治療に時間がかかるようです。
片頭痛と緊張型頭痛が同時に起きて複雑な症状の場合もあります。
【他の病気が原因となっている頭痛(二次性頭痛)】
二次性頭痛の中には、まれに脳出血や脳腫瘍(しゅよう)などが原因の緊急性を要するものもあります。
今まで経験したことのない激痛やけいれん、意識障害がある、ふらつく、物が二重に見えるなどの神経症状がある場合は、すぐに画像検査ができる病院で受診して下さい。
風邪などの心配ない頭痛ということが判れば安心できますね。
梅雨時に毎年のように頭痛を起こすお子さんには、薬で対処する事も。
子供さんへ薬を使う場合には十分な注意が必要です。
◆市販の子供用頭痛薬の選び方
一般的に依存性がおこりにくく安全性が高いのは、単一成分の鎮痛薬だといわれています。
小児頭痛の治療の薬として「イブプロフェン」と「アセトアミノフェン」の単一成分が効果的でかつ安全であるとされています。
【アセトアミノフェン】
妊婦さんにも処方されることのある安全性の高い薬ですが、効き目は弱いものです。
市販薬の中で、アセトアミノフェン単一成分の小児用頭痛薬は「小児用バファリン」です。
【イブプロフェン】
イブプロフェンの鎮痛作用はアセトアミノフェンよりも優れているのですが、イブプロフェンの小児用薬は、市販されていないようですので病院での処方となります。
※絶対にやってはいけないこと!
アスピリン成分の入った市販の小児用頭痛薬は無いので通常は服用することはないはずですが、大人用の頭痛薬を半分の量にして服用させるというようなことは絶対にやってはいけません。
例えば小児用バファリンの成分は「アセトアミノフェン」で安全ですが、大人が使う「バファリンA」の成分はアスピリンです。
同じバファリンでも成分は全く違うので、量を減らして子供に使っては危険です。
◆梅雨時の子供の頭痛に効く漢方薬は?
子供の頭痛にはライ症候群を発症する危険性などを考慮し、漢方薬という選択肢を考慮しながら使用している病院もあります。
梅雨時の頭痛には「五苓散」、これは小児の頭痛にも効果が出るそうです。
※ライ症候群:解熱薬として内服したアスピリンが誘因となって水痘やインフルエンザに続発し、、脳と肝臓に機能障害を起こすもの。
乳幼児に多くみられアスピリンの使用を禁じる警告が出てから発病は減少。
◆「乗りもの酔い止め薬」が効果あり!
酔い止め薬には、内耳にある神経を鎮める働きがあります。
気圧の変化で起きる頭痛の「予兆」を感じたときに飲めば、痛みが強くなるきっかけをおさえることができます。
酔い止め薬購入の際には薬剤師に内耳に作用するタイプかの確認をおすすめします。
予兆は人によって異なります。
耳が詰まった感じ/眠気/頭がボーッとしている感じ/めまい/首や肩が重い/こめかみが締め付けられるなど。
梅雨の体調管理に良い食事!
自律神経のバランスを崩したり、冷たい物のとりすぎで胃の調子も悪くなりやすいのがこの時期です。
最も憂鬱なのは「むくみ感」でしょうか。
体の中の水分代謝が滞りがちで暑いのにもかかわらず体が冷えるという状態になるのですね。
そのような方に「トウモロコシ」とその「ヒゲ」を使った薬膳料理をおすすめします。
トウモロコシの「ひげ」は利尿の働きが有り余分な体内の水分を排出するので、むくみやすい梅雨時に効果的。
ヒゲは2日ほど天日干しにしたものを刻んで野菜炒めの具にすることもできますので捨てずに利用しましょう。
■「トウモロコシとヒゲの炊き込みご飯」
【材料】(4人分)
トウモロコシ:1本
トウモロコシのヒゲ:1本分
米:1カップ半
塩:小さじ1
オリーブオイル:大さじ1
水:2カップ
【作り方】
①トウモロコシのひげとトウモロコシ、きれいな緑色の部分のヒゲを用意します。
②包丁でトウモロコシの実をこそげとります。(芯は炊く際に使うので捨てないでください。)
③ヒゲは1センチ長さ位に切ります。
④そいだ実とヒゲ、トウモロコシの芯(うまみが出るので)、水、オリーブオイル、塩を炊飯器にセットします。
⑤炊飯器の設定に従い炊き上げます。
■「とりの中華和え」
ザーサイは以前は近所のどこでも売られている物ではありませんでしたが、今ではスライスしたものが入手しやすくなりました。
ザーサイには意外なほど栄養素が含まれています。
ザーサイに多く含まれているカリウムは「むくみ解消」効果があります。
カリウムには摂りすぎた塩分、ナトリウムを水分と共に尿や汗として排出する働きがあります。
ザーサイのカリウム含有量は納豆やニラを上回り、ほうれん草とほぼ同等の数値となります。
鉄はほうれん草の約3.2倍、サラダ菜や枝豆をも上回る数値となっています。
カルシウムは春菊、チンゲン菜をより多く含まれています。
ビタミンKも多く含まれていてピーマンやカボチャを上回っています。
【材料】(3~4人分)
蒸し鶏:胸肉1枚
長ネギ:2分の1本
ザーサイ:1パック(スライスしたもの)
ごま油:お好みで適量
醤油:少々
塩:少々
日本酒:大さじ2位
【作り方】
①鶏むね肉は皮を取りフォークで数か所刺して、塩と酒をします。
②鶏肉を耐熱皿に入れラップをして電子レンジで10分加熱し、火が通っていなければ再度加熱します。
③冷めてから細く裂きます。(白髪ねぎと同じ程度に)
④長ネギは白髪切り、ザーサイは千切りにします。
⑤3種をボールに入れて混ぜ合わせます。
⑥ごま油を少々加えてさらに混ぜ、味をみて足りなければ塩少々と醤油をたらす程度に加えます。
■「かぼちゃのチーズボールコロッケ」
ビタミンA前駆体のβ-カロテンを含むかぼちゃの子供の好きな丸いボール型のコロッケです。
神経を休める作用のあるカルシウムを含むチーズを一緒に取り入れましょう。
【材料】4人分
かぼちゃ:4分の1個
玉ねぎ:みじん切り3分の1個分
チーズ:ベビーチーズ4個
薄力粉:大さじ2位
卵:2分の1個
パン粉:30g
キャベツ:適宜
【作り方】
①かぼちゃは皮をむいて一口大に切り、ひたひたの水を加えてゆでます。
②柔らかくなったら余分な水分を捨てた鍋を弱火にかけて粉ふき芋の要領で水気をとばします。
③すりこぎでつぶします。
④玉ねぎを油で透き通るまで炒め、塩・胡椒で味付けます。
⑤玉ねぎとかぼちゃのつぶしたものをよく混ぜます。
⑥バットなどに12等分に分け、チーズを芯にして丸くしっかり丸めます。
⑦小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけ、中温の油で揚げます。
⑧衣がきつね色になればOKです。(具はすでに火が通っていますので)
※付け合わせには千切りキャベツをどうぞ!
■「「人参シリシリ」
ビタミンA前駆体のβ-カロテンを含む人参を一度にたくさん摂れる沖縄料理です。
【材料】(3~4人分)
人参:1本
ツナ缶:小1缶
卵:2個
油:適宜
【作り方】
①人参は千切りにしたものを油で炒めます。
②人参にツナ缶を加えて塩・胡椒で味を付けます。
③卵を溶いてから加えて火が通ればできあがり。
まとめ
気圧の変化に負けないように自律神経のバランスを保つには普段から何を心がけたら良いでしょうか。
自律神経にとってのマイナス要因は、なんといっても「不規則な生活」と「ストレス」です。
不規則な生活は身体へ大きな負担をかけるので体調は不安定に。
不安定な体の調子を安定させるために働くのが自律神経です。
自律神経がオーバーワークの緊張状態になると、自律神経のバランスが崩れてしまいます。
お子さんの睡眠のリズム、食事のリズムといった日常生活のリズムを規則正しくすることで自律神経の負担を軽減するように親子で取り組まれてはいかがでしょう。